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祖父の本

‘2010年12月07日’

 私の祖父は生前、「ゼロ災運動」というものに一生を捧げたような人でした。
そして、一生のうちに1冊だけ自費出版で本を出しており、その表紙は祖母が自作の芋版(染め物)で制作したもので装丁されています。
今まで何度読もうとしても読まず、よくは知らぬままでした。
私が小さな頃に亡くなったので記憶があまりありませんでした。
ただ、祖父のお葬式は本当にとってもたくさんの方々が集まって、お祭りみたいだ!と幼い自分はまだよく事態が飲み込めぬままソワソワしていた事を覚えています。
当時、祖父の勤める建設会社では工事による事故が時々起きていて
数名亡くなった方もいらっしゃったとあります。
そこで、安全担当だった祖父は勉強会に赴いたり本を沢山読み、徹底した安全確認を会社の全員に広める為尽力したようです。
この中でしきりと唱えられていたのは「安全」という運動や仕事を通して人を愛した、祖父のたぎるような熱い血みたいなものでした。
安全のことだけでなく、仕事をする際の心構えや指針、話し方や対し方まで書いてあったり、私にとってはどんなビジネス書にも負けない、素晴らしい本だと思いました。
丁度先日図書館学のお話を聴く機会があったのですが、そこで
「本の中ではその人は生きている。」と言う言葉あり
まさに!と祖父に叱咤激励されている気持ちになったのでした。
(余談ですが図書館も小さな頃から本当に大好きです)
寡黙な祖父が、今の私とこんなに話をするなんて
いきていると 本当にいろんな出逢いがあるんだと思わずにはいられません。
選んだ道は違っても、大切にすることが同じであったり
つながっている人とはつながって ここに いる。
「ここにそれはないけれどここにいる。」by yoko ono
そんな言葉を思い起させてくれました。
本の最後に記してあった、祖父がすきな言葉。
ー人生を大きく変えるものは ものの見方である 力でも知識でもないー

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