小さな頃のこと。
海辺の砂浜で、弟と砂の山を作っている。
サクサクと砂を掘ってペタペタとならして山の出来上がり。
あちらとこちらで穴を掘り出して、トンネルを作る。
両手で黙々と砂を掻く内に、目的を忘れ 掻く行為に没頭する。
するとある地点で、ポッと弟の湿った手が向こうから現れてビクッとする。
瞬間嬉しくなって、ワーッと声を出して手をつなぐ。
そうだ。
トンネルは、掘るのが目的ではなく、あちらとこちらをつなぐ為に掘っているのだ。
何でこんな事を思い出したのだろう
分からないけれど、その時の湿った砂や手の感じを覚えている。